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そんな時、風のたよりで、武州松山の野久(箭弓)稲荷が良いと聞いた。 定助は妻の鈴をつれて、さっそくその稲荷に行く事にきめた。 おこもりの仕度をして、遠くていまだ行った事のない松山をさして出発した。目の悪い定助にとっては、つらく長い旅のように感じられた。