トップページ>めおとぎつね
そしておこもりの最後の日、定助は鈴に手を引かれて、まだあたりがうすぐらい中を、定宿にしていた「松屋」を出て神社に入った。
すでに何人かの人が、うすぐらい拝殿の中で、うずくまるように手を合わせていた。
二人は人びとの後にならんで座った。
冬の明け方は、めっぽう寒かった。社の杉木立をふるわす、木枯の音が一そう寒くしているようだった。
二人はいっ生けんめいに祈った。
やがて、一番鶏が鳴き、二番鶏が鳴き、あたりがうす明るくなるころ、三番鶏の声が元気よく聞こえてきた。誰かが、ぐすぐすと鼻をこすった。



